西島建男歌集7

232 首相よ苦難に立ち向かい逃げるな 富裕税を作り 福祉弱者を救え 233 宿泊所で孤老がひっそり死ぬ 税金を贅沢に使う 政治家は自腹で 234 公正中立 第三者とは自己ごまかし 権力者のポチは 電柱に小便もせぬ 235 嘘つきの仮面の詐欺師 危機をあ…

西島建男歌集6

西島建男歌集6 201 ほととぎす庭で鳴く聞けば 亡き君へ便り届けと 喋りまくりぬ 202 夜桜のトンネルくぐれば 放射能の国境閉じ 幾十年たつ 203 藤棚に首を吊りたれ下がりたし ガンの痛み消え 紫に輝く 204 照明で夜桜恥ずかし しみ見えて月化粧…

西島建男歌集5

西島建男歌集5 141 五年たつ津波でいたむ ランドセル引き取りてなく 炉で火となりぬ 142 死のヴェールめくれば 永久の雪原に光り満ち ペンギン転びぬ 143 身障の赤き手帳を 受け取りぬ 塀のすき間にタチアオイ咲く 144 愛感じず死んで初めて 妻…

西島建男歌集4

西島建男歌集4 西島建男歌集4 79 伊豆山に妻を喪くして 来てみれば 千人風呂なく砂浜もなし 80 波響き息子と入る露天風呂 水平の雲に 生き延びし我を見ゆ 81 夏の夜に八岐大蛇襲い来て 万華の花火 降り注ぎ来たり 82 誘うよう抱きしめ迫る 波のう…

西島建男歌集3

西島建男歌集3 67 鬼灯に雷雨打ちつけ 赤深み光刺されば 妻のまぼろし 68 担架から夏の青空透き遠く サイレン光り いのち雲に混じる 69 読書こそ我が抗がん剤わくわくと 活字の点滴 百日草咲く 70 腹の傷切腹の痕何回も へなちょこ武士の 涙の流れ…

西島建男歌集2

西島建男歌集2 51 小さな位牌あわてて買い 君の名は「釈尼貞華」 あなたはどなた 52 君の弾くピアノ曲を聴きたいな はやく帰ってきて 調律も終えたし 53 中華街肉まんの乳房に 炒飯の油はぜ 口づけかわす 54 握手会アイドルに力士 エモるねイケメン…

西島建男歌集1

テイ挽歌 西島建男歌集1 1 白骨を砕きて散りぬ かよわくも妻の小指の 灰さらさらと 2 死なんとし宇治川の淵 さまよえば大文字の火 あかあかと燃ゆ 3 捨ててよと遺しし言葉 古い日記を土に埋めれば 蟻二匹這う 4 妻枕恋を忘れじ 長夜明け涙と添寝 夢でも…